明日11月18日、長野県伊那文化会館大ホールにて、第21回伊那能が開催されます。
■日 時
平成24年11月18日(日)
・能と狂言鑑賞講座 午前11時開始
・第21回伊那能公演 午後1時開演
■場 所
長野県伊那文化会館大ホール 仮設能舞台
■演 目
能 「杜若・安達原」
狂言「茶壷」
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この公演では、海外からのお客様および東日本大震災の被災地である岩手県、宮城県、福島県より上伊那に避難してこられている方々を対象として、無料ご招待・ご優待チケットの用意を行っております。
在原業平が詠んだ有名な一句
唐衣(からころも)
きつつなれにし
妻しあれば
はるばる来ぬる
旅をしぞ思ふ
能「杜若」はこの歌がベースとなった物語です。
杜若の花の精が、業平の歌の功徳により成仏できたことを喜んで
業平の形見の冠と、業平の妻の形見の唐衣を着て舞います。
「恋の舞」の小書(特殊演出)では舞の途中に橋掛まで出て、
水辺に映る自分の姿に見入る演出がなされます。
水面に映るのは果たして杜若の精なのか、それとも業平なのか…
幻想的で美しい小書ですので注目してみてください。
山伏たちが一晩の宿を借りた老女の正体はなんと鬼で…という筋です。
この鬼、もともとは公家に奉公する乳母だったのですが
彼女が育てていた姫君が重病だったことから、姫可愛さにある禁忌を犯してしまい
気も狂って鬼と成り果てる、という凄惨な逸話がこの話の下敷きとなっています(が、劇中ではほとんど触れられません。)
安達原の鬼婆伝説が元となっている「安達原」は「葵上」「道成寺」とともに「三鬼女」と呼ばれ、どの曲も鬼こそ出てきますが、ただ恐ろしいだけの話ではありません。
「安達原」では私共が日頃お世話になっております、坂井音重師がシテを務められます。
また、12月1日には盛岡市民文化ホールにて、観世流能が催されます。
震災後、盛岡では初の演能となります。
■日 時
平成24年12月1日
午後1時30分開場 午後2時開演
■場 所
盛岡市民文化ホール 大ホール
■演 目
能 「船弁慶」「土蜘蛛」
お能の作者というと世阿弥が有名ですが
観世小次郎信光作の「船弁慶」は
静御前が義経の旅立ちを寂しく思いながらも、
道中の安全、さらには義経の未来を祝福して舞を捧げる前場
平家の武将・平知盛(清盛が最も愛した息子でもあります)が
地獄から甦り義経に襲い掛かる後場からなり、
ドラマチックな構成となっております。
「土蜘蛛」は作者不詳ですが
源頼光とその従者たちの妖怪退治の物語で
大勢の登場人物が舞台を一杯に使って戦闘を繰り広げます。
お能の中では唯一「蜘蛛の糸」の小道具を用いる曲で
妖怪・土蜘蛛が四方八方に蜘蛛の糸を投げかけるシーンは
この曲最大の見せ場でもあります。
老若男女、お能を始めて見るという方でも
きっと楽しんでいただけるような華やかな番組です。
土蜘蛛は前シテを坂井音重師、後シテを坂井音雅師が務められます。
また、能と仕舞には盛岡市在住の安立宏師、古枝良子氏、
一関市在住の小野寺弘師が出演されます。
能はどうしても能舞台のない所だと上演が難しいので
どちらの公演も貴重な機会かと思います。
皆様お誘いあわせの上、是非お越しください!